2020年秋、タミル映画の良作を紹介することに特化した
「タミル大阪国際映画祭 Osaka Tamil International Film Festival(OTIFF)」が開幕。
その記念すべき第1作目に選ばれたのは、2019年12月に現地で公開され全世界の映画祭で大絶賛された
【チル・カルパティ ~4つのスイーツ~】(原題:சில்லுக்கருப்பட்டி チッル・カルッパッティ)。
心温まる4つのオムニバスストーリーで、日本の皆様からも好評を頂きました。
第3回目の今回は、その雰囲気を一変させる「タミル映画史上最大のハード系問題作」。
2時間20分全編が修羅場、サバイバルの前半と血みどろの後半。
単なるアクションではない、憎悪と狂気に満ちた復讐の殺戮。
喉を掻き切れ 腕を引きちぎれ 鉈と槍をブッ刺し全滅させろ
全てを干上がらせる【アスラン ~阿修羅~】が、今降り立つ。
スクリーンから迸る負のパワーが、観賞者の心に槍を刺す。
映画の前半ナレーションで以下の点が説明されます。「舞台はタミルナードゥ州ティルネルヴェーリ。北部(ワダクール)の比較的裕福な地主が、南部(テック―ル)の貧しい農民・シヴァサーミの土地を奪おうとしている。」
このティルネルヴェーリは、実際に上位カーストの地主とダリットの小作農との間でたびたび紛争が起こっており、時には死者が数十名を超えるような血生臭い虐殺事件も頻発しています。さらにダリット達が小作農をしている土地は、元々イギリス植民地時代に彼らに分け与えられたのを、上位カーストの地主達が騙し取ったという歴史もあります。この舞台設定のナレーションのみで、タミルの人たちはこれら彼らの境遇を全て読み取っていることになります。
ただ、予備知識がなくても(日本人の私達でも)彼らの境遇が読み取れる部分もあります。回想シーンでの、〇を〇〇こともできない女学生の場面などです。
一方、ダリット達の政治的な優遇制度(留保枠)などを保持するべく、解放運動をしているグループ自体がカースト制度を守るように仕向けている、といった複雑な事象があるのも事実で、この問題をさらにややこしく、そして闇深くさせています。
リアリズムを追求すべく、本作品はグロテスクで残虐なシーンも多くなっており、捉え方によっては暴力を肯定する内容と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
この点について、ヴェトリマーラン監督は次のように述べています。
「暴力は復讐の連鎖を生み、問題の根本的な解決にはなりません。
しかし暴力に頼らざるを得なくなった経緯を、私達は伝える必要があるのです。」
同作は40年以上前に執筆された小説「ヴェッカイ」が原作となっており、回想シーンが約40年前、現在のシーンは約20年前を設定していると思われます。しかしながら、ダリットをめぐる紛争・事件は、劇中で描かれている「キールヴェンマニ集団殺害事件」をはじめ、その後も毎年のように発生しており、決して「昔話」とは言えません。それを裏付けるように、類似のテーマを取り扱った作品が現在でもタミルナードゥ州で多く制作されています。
これらの作品が力となり、人間が誰しも持っている心の中の「アスラン」が、もうこれ以上どこにも出現しないよう祈ります。
映画の前半ナレーションで以下の点が説明されます。「舞台はタミルナードゥ州ティルネルヴェーリ。北部(ワダクール)の比較的裕福な地主が、南部(テック―ル)の貧しい農民・シヴァサーミの土地を奪おうとしている。」
このティルネルヴェーリは、実際に上位カーストの地主とダリットの小作農との間でたびたび紛争が起こっており、時には死者が数十名を超えるような血生臭い虐殺事件も頻発しています。さらにダリット達が小作農をしている土地は、元々イギリス植民地時代に彼らに分け与えられたのを、上位カーストの地主達が騙し取ったという歴史もあります。この舞台設定のナレーションのみで、タミルの人たちはこれら彼らの境遇を全て読み取っていることになります。
ただ、予備知識がなくても(日本人の私達でも)彼らの境遇が読み取れる部分もあります。回想シーンでの、〇を〇〇こともできない女学生の場面などです。
1968年12月に、タミル中部ナガパッティナム近郊の村で発生したダリットへの集団焼き討ち虐殺事件。貧しい人達が地主に対して賃金アップを訴えたことがきっかけとなり、地主と労働者との紛争が激化。地主は200人の手下とともにダリット達の小屋を囲んで火を放ち、40名を超える人々を虐殺。燃えている小屋から逃げ出した子供達をも火の中に再度投げ込み殺害するなど凄惨を極めた。
インド映画は、ボリウッドだけじゃない!
インドと一言で言ってもその国土は広大で、北と南では話す言葉も違います。
日本では【ムトゥ】のヒットでタミル映画が有名ですが、世界的にはインド映画といえば北インドのボリウッド以外まだまだあまり知られていません。また、日本においても【ムトゥ】や【バーフバリ】以外の南インド映画は観たことがない、という方も多いと思います。
そこで私達は、南インド・タミルナードゥ州の映画に特化し、その素晴らしさを日本の皆様にもより知って頂くため、タミル大阪国際映画祭(OTIFF)を立ち上げました。
日本のDAINA PICTURESが、インド・タミルナードゥ州の有名映画制作会社であるBigprint Picturesと提携し、日本のタミル映画ファンの皆様のご協力のもとに開催してまいります。
タミル大阪国際映画祭(OTIFF)は、2020年秋から毎年開催し、タミルと日本の架け橋となることを目指しています。
タミル大阪国際映画祭第3回目の上映は、大阪・今里にある「東成区民センター・小ホール」にて開催いたします。
新型コロナウイルスの感染拡大が続いております為、より広く大きい会場を確保するとともに
ご入場人数は大幅に制限して、座席は前後左右1席以上空けてご利用頂けるようにしました。
公共施設のため、換気システム等も常時作動するなど、館内全体の感染症予防対策も徹底しています。
本国・インドでは、1/13にヴィジャイ氏主演【MASTER】が公開されるなど、映画上映も徐々に復活の努力がされています。
しかしながら、映画産業全体としてはまだまだ大きな打撃が続いており、特にタミル大阪国際映画祭でご紹介している
良作の映画を制作する方々にとっては、まだまだ長いトンネルの出口が見えない状況です。
日本でも感染者が減少傾向にあるとはいえ、この時期の開催を良く思われない方がいらっしゃるのも理解しております。
しかしながら、できる限りの対策を施した上でこの映画祭を日本で継続開催することは、
現地の制作者の皆さんを勇気付け、希望を与える大きな意義あると考えています。
この趣旨にご賛同頂けましたら、ご入場時の検温・手指のアルコール消毒など感染予防対策にご協力頂き、
安心できる会場にて映画祭をお楽しみください。
皆様のご参加をお待ちしております。
※新型コロナウイルスの状況を見極め開催の可否を判断しておりますため、ギリギリの告知となり申し訳ございません。
緊急事態宣言発令時など公共施設が閉鎖される事態となった場合には、本イベントも開催を見合わせます。
※【アスラン ~阿修羅~】は本編が約2時間20分ありますので、今回はショートムービーの上映はございません。
第1回目・2回目と異なり、18時30分には本編上映がスタートしますのでご注意ください。
日程 | 2021年3月27日(土)・28日(日) チケット受付:17時30分~ 開場:18時~ 開演:18時20分~ ※本編上映は18時30分頃~を予定 ※インターミッション(途中休憩)あり ※終了は21時10分頃を予定 |
料金 | 1,300円 ※中学生以上均一料金 本作品は小学生以下はご入場できません |
開催場所 | 大阪・今里 東成区民センター・小ホール 大阪市東成区大今里西3丁目2−17 東成区民センター 6階 最寄駅 : 大阪メトロ 今里駅(2番出口) |
チケット | 予約申し込み制(当ページから予約可能) 料金お支払いは当日ロビー特設テーブルにて |
座席 | 当日17時30分より、 先着順にて整理番号付チケットをお渡し 18時より整理番号順にご入場 |
チケット | 予約申し込み制(当ページから予約可能) 料金お支払いは当日ロビー特設テーブルにて |